嘔吐
食滞
餌がそのう(餌をためておく器官)から前胃へ落ちていかず、そのうに滞留してしまう状態のことです。
なんらかの原因でそのうの動きが悪くなったときにおこりますが、消化器官に問題があるときでもおこります。
症状としては、食欲不振、嘔吐、フンをしないなどです。
挿し餌のヒナに起こりやすく、餌がそのうで固まってしまって気がつかないと胃にエサが落ちなくて落鳥してしまいます。
挿し餌ヒナの場合は、餌を与える前に毎回そのうを触ってチェックしないといけません。
食滞を起こしたら対処としては、スポイトでぬるま湯を飲ませ、胸部をやさしくマッサージして、滞留した食べ物を胃へ流します。
1度では流れないことが多いため、そのうがやわらかくなって餌が胃に落ちていくところまで、何度か丁寧に行ってください。
成鳥でも食滞を起こすこともありますので、初期対処はヒナと同じくぬるま湯を与えて食滞の症状がおさまるか状況をみてください。このときは水入れに入れて与えるようにしてください。
成鳥とヒナともに食滞が改善したらフンをするようになりますので、確認してください。
成鳥の場合、ぬるま湯で改善したとしても消化器官の問題も考えられますので、獣医師に診てもらってください。
そのう炎
そのう(食道が部分的に拡張した器官で、餌を一時的に溜めておくところ)が炎症を起こした状態のことを、そのう炎といいます。
症状としては、餌や粘液質の液体を首を大きく振って嘔吐します。広範囲に吐き出しますので、発情期によるはき戻しとは区別ができます。また、嘔吐物には悪臭がします。
他の症状として、なまあくびが多くなったり、水を多く飲むこともあります。進行していくと食欲がなくなっていきます。
原因として異物や刺激物を飲み込んでしまったときや、そのうで細菌や寄生虫が増殖するなどです。
加熱されたでんぷん質(ごはん、パンなど)は、うまく消化できないためそのう炎が起きる原因とも考えられています。
よくありがちなことが、人の食べ物を欲しそうにしていたから与えてしまったり、古くなった餌を交換せずにしばらく与えてしまったりすることがあると思います。
衛生面に気をつけて、人の食べ物はインコが欲しがっていたとしても与えることのないように注意しましょう。
カンジタ症
カビの一種であるカンジタ菌による感染症です。
カンジダ菌は消化器官に常在する菌のひとつですが、健康体でれば免疫力でカンジタ菌の増殖を抑えて、無症状でいることがあります。
インコが他の病気やストレスで免疫力が下がったときにカンジタ菌が増殖します。
また、炭水化物などの偏った食餌(人の食べ物に多い)や長期間の抗生剤投与、ビタミン不足などの栄養の偏りでもカンジタ菌が増殖することがあります。
カンジタ菌は熱変性した炭水化物を好物にしていますので、パンやご飯をインコに与えると発症しやすいと言われています。
症状としては、口腔、そのう、胃腸粘膜などに潰瘍や膿瘍などができ、食欲がなくなり嘔吐、下痢などをします。
人の食べるものを与えないでバランスのとれた食餌にして、ケージ内を清潔に保てるよう衛生管理をすることが大切です。
腎不全
腎臓は、体内の老廃物を尿酸として排泄する臓器です。
腎不全とは腎機能が50%を下回った状態をいいます。腎臓の働きが悪くなると尿酸がうまく排泄されずに体内に蓄積すると、様々な症状があらわれます。
脱水、循環不全のほかに、ウィルスや真菌(カビ)などによる感染のもの、腫瘍、低栄養など原因はさまざまです。
症状としては、元気喪失、膨羽、嘔吐、多飲多尿、体重減少、脚の麻痺などがあります。
腎不全が慢性化すると尿酸が内臓や間接に沈着する痛風になります。
体内であれば発見が難しいですが、脚の間接に尿酸がたまると、脚を頻繁に上げたり、止まり木に止まれなくなることがあります。また、脚の関節の腫れが見られることもあります。
腎臓に負担がかからないようにバランスのよい食餌(エサ)と衛生管理が大切です。
胃内異物(異物嚥下)
インコが異物を飲み込んでしまうトラブルで、放鳥中に飼い主が目を離したすきにおこることが多いです。
インコは消化できないものであっても飲み込んでしまうことがあります。
小さなビーズのようなものを誤って飲み込んだり、金属やケーブルなどあらゆるものをかじって誤って飲み込んだりします。
鉛などの中毒性があるものをかじって飲み込んでしまうと急性中毒によって死にいたることもあります。
飲み込んだんだ物は排泄・嘔吐で排出することもありますが、とがったものなどが体内に留まると血便がでることもあります。
体内のものを取り除くには開腹手術が必要なときもあります。
胃や腸にたまって排泄できずにいると食欲不振になり、放っておくと衰弱してしまいます。
異物を飲み込ませないためにはケージの中に配置するものや放鳥時の部屋に危険な物がないかを事前に確認しておくことが大切です。
AGY感染症(メガバクテリア/マクロラブダス)
AGY(Avian Gastric Yeast)は、カビの一種です。
AGYは世界中に感染が広まっており、日本でも大多数が感染していると言われています。
以前はメガバクテリア感染症と呼ばれていました。
ヒナの時期に親鳥から感染したものがほとんどだと考えられています。
健康なインコは免疫力でAGYの増殖を抑えて無症状で生涯発症しない個体もいますが、ストレスや他の病気で免疫力が落ちたときに、合併症として発症することがあります。
発症する要因としては、換羽期、環境の変化によるストレス、病気などで、免疫力が落ちてくると発症し易くなります。インコの中でも、セキセイインコが多く発症していますので、セキセイインコを飼う場合には気をつけたい病気です。
AGYは胃に存在して免疫力が落ちると増殖して、胃を荒らして消化障害を起こします。その結果、食べたものが消化されずにそのまま排便されたり、食べても食べても痩せていってしまします。
主な症状としては、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振、黒色便、体重減少などです。
AGY感染症は慢性化すると治りづらい病気ですが、早期に発見できれば抗真菌剤を投与することで完治も可能な病気です。日々の健康チェック(体重減少、糞の状態など)で早期に発見しましょう。
また、衛生的な環境(ケージ内の清掃)、環境の変化によるストレスの解消などで発症を防ぐことが大切です。
AGYは糞便から発見できますので、健康診断を受けていれば早期に発見することができます。
なお、インコが健康なときはAGYに感染していても糞便で検出されないことがありますので、定期的な健康診断が必要です。